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2020/06/30 23:02

日本一に輝いたことがある、鰹節屋さん、やまじゅうさん。
手切り→茹で→骨抜きの作業は、前回のブログで紹介をしました。

今回は、一番大切な、鰹節の燻しの工程を伺います。
江戸時代から、手火山式の陪乾(ばいかん:燻して乾燥する)法が一番の方法であると言われてきました。
ただし、この手火山式は、手間がかかる作業なので、日本でも数社しか行われていないのが現状です。

大手メーカーさんでは、安定した物量や価格を支えるために、大きな乾燥機で鰹を乾燥させる方法が主流となっています。乾燥機を使う場合は、一度に大量に燻すため、手火山に比べて燻しの火力が弱く、どうしても節の仕上げにムラができてしまいます。また、機械をつかう場合は、風の通り道が決まってしまうので、よく風にあたる鰹節と、風にあたりにくい位置の鰹節とでは、個体差が出てしまうこともあるようです。

やまじゅうさんでは、燻しの工程も1つ1つの様子を見ながら、鰹節に誠実に作業が進められます。
鰹節をつくるうえでも一番大切な工程。

①手火山で燻す

【ポイント】
一番最初にあてる煙は、手火山式。
茹でて、骨を抜いた、もっとも水分を含ませた状態で燻すことで、おいしい鰹節づくりができます。
ここでも均一に燻すために、一定時間が経過すると、鰹節の置き場所を入れ替えます。
手火山式で燻す時間は、約一時間。

一方で、大手メーカーさんは、蒸してから燻す工場さんが主流。
大きな機械は置き場所の入れ替えなどができず、蒸されすぎた場所は、上手に風味がつかないこともあるそうです。


②手火山前後の鰹節の変化
手火山で燻す前の鰹。少し白っぽい印象です。


手火山で燻した後の鰹は、燻製の色味がついているため、少し茶色い印象。
少し香りもついており、既においしそうです。



③専用の燻製部屋に入れて、更に燻していく。
鰹を入れていきます。

火をつけて、燻していきます。

【ポイント】
ここからは専用の燻製部屋に入れて、更に乾燥をさせていきます。
乾燥の期間は、鰹の個体差や、時期にもよりますが、だいたい5~6週間くらい。
じつは、乾燥が十分ではない鰹節は、生臭く感じたり、削っても色が悪く、ボロボロと粉になってしまいます。
ここでも丁寧に鰹節の様子を見ながら、状態を確認していきます。




燻しあがった鰹節は、表面が炭化し、黒くなっているので、表面を削ります。
これで「荒節」が完成します。
ここまでくるのに、少なくとも5~6週間と、時間がかかりますが、更に、手を加えるものが「本節」となります。
やまじゅうさんの鰹節は、荒節でもとても味があり、美味しいのですが、本節は質や形が厳選された更に特別なものになります。

【ポイント】
元の原料の鰹の鮮度や質、節の仕上がりの形などによって、本節用のものが選別されていきます。
それぞれの鰹節の個性を見分けながら、やまじゅうさんが、おいしい商品を提供してくれます。

④本節向きのものは、カビ付けしていく


【ポイント】
脂が少なく、大きさや、形もきれいなものは、カビ付けをして、本節にしていきます。
ここまで選び抜かれた鰹節は、本当に貴重なもの。
ここからは天候に左右されながら、更に、約2~3ヵ月程かけてカビ付けと天日干しを繰り返しながら、本節に仕上げていきます。
最終的な製品に近づくと表面が美しい黄金色になります。
荒節は、比較的ガツンとした味わい。カビ付けされた本節は、マイルドな味わいです。

やまじゅうさんの荒節を削った商品も、三保原屋の店頭では大人気商品ですが、本節もとても美味しいとお客さんから評判を頂いています。


やまじゅうさんが手塩にかけて作った鰹節。
是非、削り器と一緒につかってみてください。
毎朝のご飯に沿えるだけで、本当に贅沢な時間を過ごすことができます。