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2020/06/29 19:35

鰹の鮮度は、鰹節の風味にも影響が及びます。
また、燻す前の下処理も多くの工程があります。

日本一にも輝いたことがある鰹節屋さん、やまじゅうさんと、大手メーカーさんとの大きな違いは、「手作業が多く、余計な手は加えない」ことでしょうか。
完成品の鰹節は、燻しの工程を経ると、ほとんど中身が見えない状態になります。
こうなっては、プロでも品定めが至難の業。


見た目も重要視される鰹節は、鰹節本体についた傷や、割れ目を「修繕」することが一般的です。
「修繕」とは、傷や割れ目に、カツオのすり身を入れて、見た目を整えること。
見た目はキレイになりますが、実際に削るときに、粉になってしまうデメリットがあります。


やまじゅうさんの本節は、「修繕」をしなくても質や形も良いモノだけをカビ付けし、本節にしています。
更に、「修繕」をしない点以外にも、鰹節に誠実な点が沢山あります。
今回は、鰹を切ってから燻すまでの工程について、やまじゅうさんに伺います。


①手切り

【ポイント】
やまじゅうさんでは、朝7時からカツオをさばく作業がはじまります。
頭や尾ひれを落とし、内臓を処理して、男節(背中側)と女節(腹側)の境目に切り目を入れます。
手作業なので、鰹の大きさにあわせた処理ができます。


②茹で作業

【ポイント】
手切りの工程で、内臓を既に落としているため、ここでは、鰹の身だけが茹でられることになります。
そのため、アクは出ても、茹で汁がとてもキレイ。
おでんのダシのような色味で、とても美味しそう。
逆に内臓ごと茹でている場合は、茹で汁に濁りや内臓の臭みがうつることも。



【ポイント】
約90分、鰹を茹でますが、ここで、鮮度の違いがハッキリと分かります。
鮮度の悪い鰹は、身がぽろぽろと割れてきます。鮮度の良い鰹は、身が崩れずしっかりとしています。(写真は、茹で上がりの鰹の身。鮮度が良いので、身が崩れていません。)
一部の骨がついたまま茹でるので、少し細長く茹で上がるのが、やまじゅうさんの特徴。この形がそのまま本節の姿に影響を与えます。
見た目よりも、風味に重点を置いているので、形が細長くても問題はありません。


③骨抜き

【ポイント】
1つ1つ手作業で骨抜きをします。
おそらく、初めて見た方は「本当に鰹1匹1匹、骨を1つ1つ、手でとっているんだ」と驚かれると思います。

大きさの異なる鰹を骨抜きする際に、機械作業を主とすると、骨が抜け切れない場合があります。
また、骨が残ったまま鰹を燻すと、鰹節が曲がってしまうこともあります。

その点、手作業のやまじゅうさんは、丁寧に骨抜きができます。
実際、骨が含まれたまま鰹節を削っても、気が付かないことがありますが、やはり、純粋な鰹節の味を楽しみたい場合は、丁寧につくられたものをお勧めします。


ここから、燻しの工程に入っていきます。
やまじゅうさんでは、ここまで鰹1匹1匹を手作業で管理しています。
そのため、この段階で、今回の鰹節の出来栄えが少し想像できるようです。
その時々の出来栄えに適した商品を提供できるのは、いつも安定して、美味しい鰹節をつくれる最大の強みだと思います。

次回は、燻しの工程について伺っていきます。


丁寧に鰹節をつくるやまじゅうさん。
その中でも、特に質や形が良いモノが、更に手間と時間をかけて本節になります。
そんな、やまじゅうさんの本節がこちら。